見た目を小説っぽくする

出典: 小説のようなモノの書き方
版間での差分
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同じ理由で、図や表を入れるのも極力避けましょう。
同じ理由で、図や表を入れるのも極力避けましょう。
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==改行のしかた==
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いや、改行のしかたったって、どのキーを押せばいいか、とか、そういったことじゃありません。わかってる?ですよね(笑)
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ここでいう「改行のしかた」とは、どんなタイミングで改行すれば(段落を変えれば)、より小説っぽく見えるかってことです。
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まず一般的に、セリフの前後で改行します。たとえば、次のような感じで。
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:わたしはふりかえって、彼に聞いた。
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:「うそだろ?」
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:彼は、残念そうに小さく首を横にふっただけだった。
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ただこれは絶対ということはなくて、特に翻訳物の中で、短いセリフの場合は、必ずしも守られているわけではないようです。逆にいうと、意識してそれを使うことによって、翻訳物っぽい雰囲気を出すこともできる、ということになります。たとえば、こんな感じで。
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:わたしはふりかえって、「うそだろ?」と彼に聞いた。彼は、残念そうに小さく首を横にふっただけだった。
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この使い方は、もちろん翻訳物に限ったことではなく、どんな作品でも使われまが、あくまでも短いセリフ、ちょっとした返事などの場合にのみ許されるような感じです。基本的には、セリフはひとつの段落と考えた方がよいでしょう。
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セリフに関してはわかりやすいと思うのですが、それ以外の場合がわかりにくい。
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通常、段落というのは、ひとまとまりの内容を表していたりするものなのだそうですが、どこまでを「ひとまとまり」と考えるかによって、大きく変わってしまいます。
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これははっきりいって、センスの問題かもしれません。たくさんの文章を読み、自然と身につけていくもののような気がします。
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とはいっても、「見た目を小説っぽく」する手段としての手法は、あきらかに存在します。
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まず、段落の長さ。
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ひとつひとつの段落が、あまり長くない方が、見た目は軽い感じになります。テンポも、あるように見えます。
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段落が長くなれば、見た目は重い雰囲気になります。時間の流れが、ゆっくりになるような感じになります。
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これは、あくまでも「そんな気になる」というだけで、短い段落ばかりの作品でもゆっくりと、重厚な雰囲気を持っているものもあれば、ほとんど改行のない作品でも、軽くテンポのいいものもあります。
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ただそれは、プロまたはうまい文章の書ける人が書いたものを、見ただけではなく、きちんと読んでみて、はじめてわかることで、単純な「見た目の雰囲気」ではありません。
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ド素人の場合は、文章そのもので勝負をするのはむずかしくなりますから、見た目ではったりをかましてしまいましょう。
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テンポよく話しを進めたい場合には、ひとつひとつの段落を少し短めに。ゆっくりと話しを進めたい場合には、段落を少し長めにしてみれば、なんとなく見た目がそれっぽく見えてきます。
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ただし、ド素人が書いた作品の場合、あまり改行ばかりだったり、ひとつの段落がやたらと長かったりすると、なんとなくへたくそに見えてしまいますので、とりあえず、原稿用紙一枚で、段落がふたつからみっつぐらいになるようにしてみてください。少なくとも、原稿用紙で五枚も六枚も、ひとつの段落で進めるようなことはしない方が、おすすめです。それだけで、なんとなくそれっぽくなるはずです。
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次のテクニックとして、読者の注意をひきたい文章は、短い段落にする、というのがあります。映像でいえば、一瞬のクローズアップのような感じです。
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この逆で、読者の注意をひきたくない文章は、長い段落の中に紛れ込ませてしまう、というのもあります。特に、長い段落だったり、ページがまるまる文章でうまっていたりすると、人によってはきちんと読まない人もいますから。って、わたしのことですが(笑)
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この手は、推理小説なんぞでよく使われています。
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つまり、本来のヒントとなるようなことは、長い文章や、長い段落の中にさりげなく入れておいて、読者を誤った方向に導くための文章を、目立つように短い段落にしておくのです。まあ、これは見た目の問題とは、ちょっと違いますけどね。
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段落を変える(改行する)場合に、ひとつだけ気をつけてもらいたいことがあります。
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小説のようなモノを書く場合、改行の前には必ず記号が来る、ということです。もちろん、本来は改行の前だけではなく、文章の終わりには必ず記号が来るんですが。
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記号というのは、「。」や「、」、「?」や「!」などのことです。「……」の場合もありますね。「」」もそうです。
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次のような改行のしかたは、間違いです。
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:わたしはふりかえって
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:「うそだろ」
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:と聞いた。
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上の例では、「ふりかえって」の後ろに「、」を入れてください。どうしても入れたくない場合には、改行せずに、
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:わたしはふりかえって「うそだろ」と聞いた。
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とする方が、よっぽどましでしょう。
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1999.07.11

2008年7月21日 (月) 04:08の版

ここでは、どうすれば見た目が小説っぽくなるか、ということをお教えします。あくまでも見た目の問題ですから、ぱっと見た瞬間に、「これは小説かもしれない」と、見た人に思わせるテクニックです。ここに書いてあることを多少意識するだけで、ぱっと見が小説っぽくなること請け合いです。

本来小説は、ぱっと見で勝負するものではなく、内容で勝負するものなんですが、それ以前に、見た目が小説っぽくないと、見た(まだ読むところまでいっていない)人に、これは小説なんだ、と思わせることも大切です。せっかく書いたものですから、ちゃんと小説だと思って読んでもらいたいじゃないですか。

とはいっても、それほど難しいことは書いてありません。軽く読み流していただいても結構です。ほとんどは小学校の頃に習ったようなことばかりですから。


目次

原稿用紙が基本です

ワープロで小説のようなモノを書く場合、二十字×二十行を意識する必要はありませんが、原稿用紙の約束を意識する必要はあります。というよりも、それを意識するだけで、見た目が思い切り小説風になるのです。

では、原稿用紙の約束とはなんでしょう?

いたって簡単。次のよっつです。

  • 段落が変わったら先頭は一文字分あける。
  • 台詞の開始時は改行する。
  • 行の先頭に句読点(。や、)を置かない。
  • 「?」や「!」のあとは一文字あける。句点(。)は不要。


本当は、他にもいろいろあるんですが、これだけで、なんとなくそれっぽく見えるものです。

一番目は、小学校で習いましたよね。忘れた?思い出してください。

二番目については、プロでも場合によっては無視する人もいますが、それはプロだから許されること。ド素人はちゃんとルールを守りましょう。

で、改行するってことは、段落が変わるわけですから、この場合も一番目のルールが摘要されます。つまり先頭の一文字あける。ところがこれ、どうやら出版社によって既定が違うようなんです。出版社によっては、セリフの先頭は一文字あけずに”「”がきています。でも、基本的には一文字あけたあとに”「”がきます。

三番目に関しては、ワープロの設定に「禁則処理」とか「ぶらさげ」とかいうのがあると思いますから、それを見てください。

簡単に言うと、句読点が行の先頭に来る場合は、前の行の行末にぶら下げるように表記する、というものです。

ということは、これは、印刷の時だけ気にすればいいことで、入力中はいっさい気にする必要はない、ってことになりますね。忘れてください。

四番目は、一番目の説明のところで使っているような使い方をしてください。ただし、「?」や「!」が行の最後に来る場合は、次の一文字(次の行の先頭)をあけてはいけません。そんなことしたら、段落が変わったことになっちゃいますから。

ただ、それは印刷の時にどうなるか、ってことなんで、入力中に意識するのは、かなり大変になります。だから、できれば印刷時と同じイメージで入力できるワープロがいいんですけど....

まあ、あんまり気にしないことにしましょうか。


縦書きを意識して

これは、原稿用紙のルールとも関係してくることですが、日本で出版されている小説のほとんどが、縦書きで印刷されています。まれに、横書きのものもあるようですが、基本はすべて縦書きです。

ところが、「日本語ワープロ」と名乗っているくせに、縦書きで入力できないワープロが、非常に多いのです。かりに縦書き入力ができても、無茶苦茶遅かったりして、使い物にならない。なんというなげかわしいことでしょう。

どこかに、そういう「縦書きの文章を書くためのワープロ(ソフト)」はありませんかねぇ。

というはなしは置いといて。

ほとんどのワープロが、入力の時に縦書きにはできなくても、印刷の時には縦書きにできるようにはなっていますので、入力する時にも、ちゃんとそれを意識しないとまずいんです。

たとえば。

「5階建てのビル」

という表現は、避けましょう。

「五階建てのビル」

が正解です。違いはわかりますよね。

って、この文章実は縦書き表示モードだと意味不明になっちゃいます。今縦書きモードでお読みの方は、おそれいりますが、ここだけは確認のために横書きモードでもお読みください。ページの右上の[横書きで読む]と書いてある分部をクリックしていただければ、すぐさま横書きで表示しますので。

まさか「一期一会」を「1期1会」と書く人はいないと思いますが、そういう間抜けなことは、絶対にしてはいけません。

西暦なんかも、本当は「千九百九十七年」と書いた方がいいんですけど、最近の小説は平気で「一九九七年」と書いています。へたをすると「一九九○年」なんて表記もあって。これで「せんきゅうひゃくきゅうじゅうねん」と読んでしまう自分も情けないんですが....

これが作家の意向なのか、出版社の考えなのか、それはわかりません。なんでも、新聞の影響なんだそうです。まあ、これも定着してしまえば正解ってことになるんでしょうが。

さすがに縦書きの文章に「1990年」という表記は、ないようです。

「一九九○」という表記も、マンションやホテルの部屋番号の表記のように「せんきゅうひゃくきゅうじゅうきゅう」と読ませるのではなく、「いちきゅうきゅうまる」と読ませるんだったら構わないと思うんですけど、それでも、台詞の中にこういう表記はしない方が、小説っぽく見えるはずです。

それから、少し前にわたしも使っていますが「....」という表記。これも、実は横書き用です。縦書きを意識したら「・・・・」としなければなりません。正しくは、それでもいけないんですけどね。この点々は本来原稿用紙を使用する場合は、ひとますに点をみっつ入れてふたます使う、というのが正しい使い方です。

本当は、他にもいろいろあるはずですが、今は思いつきません。


箇条書きなんか使わない

どうしても必要ならばしかたありませんが、見た目を小説っぽくしたいのなら、箇条書きを使用するのは避けましょう。

箇条書きが入っていると、小説というよりも、レポートや何かの説明のように見えてしまいます。

同じ理由で、図や表を入れるのも極力避けましょう。


改行のしかた

いや、改行のしかたったって、どのキーを押せばいいか、とか、そういったことじゃありません。わかってる?ですよね(笑)

ここでいう「改行のしかた」とは、どんなタイミングで改行すれば(段落を変えれば)、より小説っぽく見えるかってことです。

まず一般的に、セリフの前後で改行します。たとえば、次のような感じで。


わたしはふりかえって、彼に聞いた。
「うそだろ?」
彼は、残念そうに小さく首を横にふっただけだった。


ただこれは絶対ということはなくて、特に翻訳物の中で、短いセリフの場合は、必ずしも守られているわけではないようです。逆にいうと、意識してそれを使うことによって、翻訳物っぽい雰囲気を出すこともできる、ということになります。たとえば、こんな感じで。


わたしはふりかえって、「うそだろ?」と彼に聞いた。彼は、残念そうに小さく首を横にふっただけだった。


この使い方は、もちろん翻訳物に限ったことではなく、どんな作品でも使われまが、あくまでも短いセリフ、ちょっとした返事などの場合にのみ許されるような感じです。基本的には、セリフはひとつの段落と考えた方がよいでしょう。

セリフに関してはわかりやすいと思うのですが、それ以外の場合がわかりにくい。

通常、段落というのは、ひとまとまりの内容を表していたりするものなのだそうですが、どこまでを「ひとまとまり」と考えるかによって、大きく変わってしまいます。

これははっきりいって、センスの問題かもしれません。たくさんの文章を読み、自然と身につけていくもののような気がします。

とはいっても、「見た目を小説っぽく」する手段としての手法は、あきらかに存在します。

まず、段落の長さ。

ひとつひとつの段落が、あまり長くない方が、見た目は軽い感じになります。テンポも、あるように見えます。

段落が長くなれば、見た目は重い雰囲気になります。時間の流れが、ゆっくりになるような感じになります。

これは、あくまでも「そんな気になる」というだけで、短い段落ばかりの作品でもゆっくりと、重厚な雰囲気を持っているものもあれば、ほとんど改行のない作品でも、軽くテンポのいいものもあります。

ただそれは、プロまたはうまい文章の書ける人が書いたものを、見ただけではなく、きちんと読んでみて、はじめてわかることで、単純な「見た目の雰囲気」ではありません。

ド素人の場合は、文章そのもので勝負をするのはむずかしくなりますから、見た目ではったりをかましてしまいましょう。

テンポよく話しを進めたい場合には、ひとつひとつの段落を少し短めに。ゆっくりと話しを進めたい場合には、段落を少し長めにしてみれば、なんとなく見た目がそれっぽく見えてきます。

ただし、ド素人が書いた作品の場合、あまり改行ばかりだったり、ひとつの段落がやたらと長かったりすると、なんとなくへたくそに見えてしまいますので、とりあえず、原稿用紙一枚で、段落がふたつからみっつぐらいになるようにしてみてください。少なくとも、原稿用紙で五枚も六枚も、ひとつの段落で進めるようなことはしない方が、おすすめです。それだけで、なんとなくそれっぽくなるはずです。

次のテクニックとして、読者の注意をひきたい文章は、短い段落にする、というのがあります。映像でいえば、一瞬のクローズアップのような感じです。

この逆で、読者の注意をひきたくない文章は、長い段落の中に紛れ込ませてしまう、というのもあります。特に、長い段落だったり、ページがまるまる文章でうまっていたりすると、人によってはきちんと読まない人もいますから。って、わたしのことですが(笑)

この手は、推理小説なんぞでよく使われています。

つまり、本来のヒントとなるようなことは、長い文章や、長い段落の中にさりげなく入れておいて、読者を誤った方向に導くための文章を、目立つように短い段落にしておくのです。まあ、これは見た目の問題とは、ちょっと違いますけどね。

段落を変える(改行する)場合に、ひとつだけ気をつけてもらいたいことがあります。

小説のようなモノを書く場合、改行の前には必ず記号が来る、ということです。もちろん、本来は改行の前だけではなく、文章の終わりには必ず記号が来るんですが。

記号というのは、「。」や「、」、「?」や「!」などのことです。「……」の場合もありますね。「」」もそうです。

次のような改行のしかたは、間違いです。


わたしはふりかえって
「うそだろ」
と聞いた。


上の例では、「ふりかえって」の後ろに「、」を入れてください。どうしても入れたくない場合には、改行せずに、


わたしはふりかえって「うそだろ」と聞いた。


とする方が、よっぽどましでしょう。

1999.07.11

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