有名な作品のパクり方

出典: 小説のようなモノの書き方
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Macride (会話 | 投稿記録)
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2008年7月21日 (月) 05:28の版

以前にも書きましたが、お話し作りの手っ取り早い方法は、既存のお話しをパクることです。とはいっても、既にあるお話しをそのまま文章にするだけでは、おもしろくもなんともありません。そこで、既存のお話しをパクりつつも、多少はオリジナルのように見えて、なおかつ盗作だの二番煎じだのと言われる可能性が少なくなる方法を考えてみましょう。一番簡単なのは、既に大勢の人がパクっているお話しをパクる、という手です。みんながパクっている分、同じような話しが多数存在してしまうわけで、かなり比較はされちゃうでしょうが、その分あまり文句を言われることはないだろう、と(笑)。

たとえば「シンデレラ」。これは有名ですね。はっきりいって「シンデレラ・ストーリー」なんてジャンルのようなものも存在するほどです。そこで、ここでは「シンデレラ」をベースにして、お話しのパクり方を考えて見ようと思います。同じようなやり方をすれば、他の有名な作品もうまくパクれるはずです。

そして大事なこととして忘れないでおいていただきたいのは、既存のお話しを元にあれこれいじっているうちに、出来上がったものが、元のお話しとは似ても似つかぬものになる場合もある、ということです。もしかしたら「シンデレラ」をベースにしているのにもかかわらず、出来上がったお話しには、猿が一匹出てくるだけかもしれません(笑)。いや、猿じゃなくて毛虫でもなんでもいいんですが。その場合は当然のことですが、元のお話しに固執してはいけません。それどころか、どんどん発想を広げていって、元のお話しとはまったく違うものにしてしまうようなつもりで、色々と考えてください。大事なことはそれです。それがお話し作りなんです。

やりたいことは「シンデレラ」をとっかかりにして、新しいお話しを作り出すことなんですから。

2001.06.03


まずは分析

さて、既存の作品をパクるわけですから、まず第一にやらなければいけないことは、その作品がどんな作品なのかを分析することです。ここでは「シンデレラ」をパクるわけですから「シンデレラ」というお話しがどんなお話しなのかを、分析する必要があります。

あらすじは、たぶんみなさんご存知だと思いますのではぶきます。作者はシャルル・ペローというフランスの人です。同じ作者で「長靴をはいた猫」なんて作品もありますね。まあ、作者ったって、昔からある民話のようなものを文章にまとめた、ってだけらしいですけど。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、シンデレラというのは、主人公の本名ではありません。なんでも、灰まみれとか灰かぶりとかいうような意味だそうで、汚れまくっている主人公を見て、意地悪なお姉さんたちがそう呼んでいる、というわけです。

まあ、雑学はこんなもので良いでしょう。

で、分析ったって何をすりゃいいんだ、という話しですが。ここではまず次のことについて注目してみましょう。


  • 登場人物
  • 物語の展開


実際には他に、テーマがどうのとか、モチーフがなんたらとか、そういうことも分析した方が良いのでしょうが、ここではそういうことはしません。そもそも、ここでやろうとしていることは、お話しの上っ面をパクろうということなんですから。奥の方にあるテーマなんぞは、考えないことにします。それに面倒ですし(笑)。

それから、分析というやつは、やればいくらでも細かくできるものですが、ここではあまり細かい分析はしないことにします。とりあえず、やりかたの大雑把な雰囲気だけつかんでいただいて、あとは自分でなんとかしていただこう、と。いや、面倒だからとかそういうことではないんですが(笑)。

ではまず、登場人物の分析です。

「シンデレラ」という物語に出てくる主な登場人物は、なんとわずかに四人なんですね。

シンデレラ(主人公)
王子様(マドンナ)
魔法使い(主人公の協力者)
継母(かたき役)


王子様が「マドンナ」ってのは、納得いかないかもしれませんが(笑)。でもこの人、それ以外の出番がないんです。はっきりいって、主な登場人物からはずしちゃってもいいぐらいで。

実際には、継母の連れ子で意地悪なお姉さんたちとか、王子様の家来とか、馬に変えられちゃうねずみとか、他にも大勢出てきますが、ホントの意味での主な登場人物はこれだけ。意地悪なお姉さんたちなんて、仮面ライダーで言えばショッカーの下っ端の皆さんみたいなもんですから。

次にそれぞれの登場人物の性格設定です。

シンデレラは、外見も美しく心の優しい、誰からも(継母と姉たちを除く)好かれる、主人公の見本のような人物です。個人的には鼻について嫌いなタイプですが(笑)。ただし、あとで<A HREF="./howto.cgi?TYPE=Y&NO=08-005">「疑問を持ってみる」</A>でも書きますが、この人には単純な主人公にしてはちょっと人間臭いところがあるんですね。自分のお話しの中で使う場合には、そのあたりをどう処理するかで、お話しの内容も変わってくるでしょう。

一方継母は、外見はどうあれ、性格は最低で、悪役の見本と言えるでしょう。ところが、この継母にしても、一筋縄ではいかない部分があるだろう、と想像できるんです。それについても<A HREF="./howto.cgi?TYPE=Y&NO=08-005">「疑問を持ってみる」</A>で説明します。

魔法使いの性格は、実ははっきりしていません。しっかりものでもかまいませんし、ドラえもんのように、ちょっと抜けていてもかまわないんです。ただ、主人公を助けるだけの力を持っていれば良い、と。なお、この登場人物は、魔法使いではなく妖精という場合もあるようですが、ここではとりあえず魔法使いで押し通させていただきます。

王子様に関していうと、これは既に書きましたが、マドンナ以外の存在ではないんですね。そういう理由から、最低でも外見と性格は良くなければいけない。少なくとも、主人公があこがれるような立場になければなりません。王子という立場だけでは、主人公の目標としては弱すぎます。しかし、実際にシンデレラが王子様と結婚することを望んでいたのか、それともただ舞踏会に行きたかっただけなのか、という「主人公の動機付け」によっては、この人ほとんど出番のない人になっちゃうんです。王子との結婚を望んでいたのなら、主人公がそれを望んでしかるべき人物でなければなりません。

本当はもう少しやりたいところなんですが、登場人物の分析についてはこのあたりでやめておきましょう。興味を持たれた方は、続きはご自分でやってみてください。

まあ、この程度の分析でも「シンデレラ」の登場人物というのが、かなり単純というか、あまり奥行きのない性格をしていることはわかるでしょう。童話に類するお話しの場合、物語の内容もそうですが、登場人物の性格も単純なものの方が良いようです。あんまり複雑にしてしまうと、読む方が疲れてしまいますからねぇ。

次に物語の展開の分析です。

まずは大雑把に、「起承転結」の中で何が行われているかを見てみましょう。


起:主な登場人物と状況の紹介。
主人公とかたき役の性格の描写。
主人公とかたき役の立場の描写。
承:それぞれの立場と状況の明確化。
イベントの告知。
イベントへ向けての各者の行動。
(基本の性格に忠実に)
イベントに参加できそうにない主人公。
転:イベント開催
協力者の登場による主人公の変身。
マドンナ登場。
主人公の一時的な勝利。
ただし、主人公には足枷あり。
「結」への伏線の配置。
結:大団円
伏線の表面化。
マドンナの活躍。
主人公の完全な勝利。

少し細かく考えてみましょうか。

まず、主人公の立場とまわりの環境の説明があります。この場合、物語が始まったときには、主人公は不幸な立場にいます。実際には、物語が始まる以前の、幸せな時期もあるのでしょうが、このお話しではまずどん底からはじまります。どん底の状態ではありますが、主人公はそんな中でもしっかりと生きています。このあたりが、起承転結の起になります。

ここで主人公がいかに不幸な立場にいるか、この時点では、いかにかたき役が主人公よりも立場が強いか、というようなことをきちんと描写しておくことで、それぞれの性格を表現しておきます。同時に、主人公がくじけない性格である、ということも忘れずに描いておかなければいけません。

次に、何らかのイベントが起きます。「シンデレラ」の場合には舞踏会が開催されることの通知があるわけです。物語は、イベントに向けて動き始めます。主人公もかたき役も、イベントに向けての準備をはじめますが、「起」で説明済みの状況のとおり、主人公よりもかたき役の方が立場が強い。イベントに関することだけでなく、主人公よりもかたき役の方が、明らかに有利な立場にいることを強調しましょう。ここが「承」になります。「起」に引き続いて、主人公はしいたげられ、かたき役は悪の限りをつくすわけです。

やがてイベント本番になります。「転」です。実際には、イベントが始まった直後あたりまでを「承」と考えてもかまいません。

「シンデレラ」の場合、ここではじめて主人公の協力者があらわれます。主人公は、協力者の力によって、イベントへの参加資格を得ることができるわけです。ほとんど不可能と思われていたイベントへの参加が、協力者の出現によって、可能になるわけです。そしていざイベントへ!

イベントでは、当然のことながら、主人公は大活躍します。マドンナも主人公にぞっこんです(笑)。かたき役はまったく太刀打ちできません。ただし、ここでも主人公の性格をきちんと押さえておく必要があります。つまり、かたき役に対して、今までの恨みを晴らすようなことをしてはいけないのです。主人公はあくまでも優しく。「シンデレラ」の場合には、悪役に対してまで優しかったりしちゃったりしちゃいます。

ここでは主人公とかたき役との立場の入れ替わりだけを、読者に見せれば良いのです。ここで気分がすっきりしなければならないのは、主人公ではなく、あくまでも、読者なのですから。

そしてもうひとつ大事なことは、ここでもまだ主人公には枷がかけられている、ということです。お話し作りの基本として、「主人公には楽はさせるな」というのがありますから、できるだけ苦労させてください。この点に関しては、また別の場所で考えてみることにして、ここでは先に進みましょう。

主人公は、この足枷のために、結局転落を余儀なくされます。それがなかったら、ここは「転」ではなく「結」になってしまいますから。

また、ここには「結」へ向けての伏線が張られています。ご存知ガラスの靴ですね。

そしていよいよ大団円です。

ここではマドンナが活躍します。また「転」で残して来た伏線が、効力を発揮します。その伏線によって、主人公とかたき役の立場は、完全に入れ替わります。あとは、エンディングに向かうだけです。


大雑把な分析はこんな感じでしょうか?異論はあるでしょうが、ここではとりあえずこういう形ということにしておきましょう。どうしても気に入らない、という方は、ご自分で分析してみてください。別に「シンデレラ」にこだわらなくても「白雪姫」でも「かぐや姫」でも「桃太郎」でも、お好きなお話しを。

実はこうしてみると、この「シンデレラ」というお話しは、あまりおもしろいお話しではないのかもしれないのです。なにしろこのお話し、主人公がほとんど努力していないんですね。このお話しでは、主人公はただひたすら耐え続け、ほとんど協力者の力だけで逆転をなしとげます。これは、本来のお話しの作り方からすると、あまり誉められた形ではないのです。物語の主人公は、やはり何らかの努力をしなければいけません。できれば、主人公は努力を重ね、その結果自分の力で何かを手にした方が、お話しとしてはおもしろくなるのです。とはいっても、世の中のほとんどの人が、「努力しないで何かを手に入れたい」と思っているので、その夢をかなえてくれるこのお話しは、そういう理由で長く生きつづけているのでしょう。まあ、これをベースにお話しを考える場合は、そのあたりのことにも注意していくことにしましょうか。

2001.06.03

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